十三番目の悪い魔女

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 生まれてきてから十七度目の冬。魔女の町には年に一度、想い人に気持ちを伝える日がある。  森で茶色い木の実を拾ってきて言葉と共に渡すのだ。十三番目の少女も淡い恋心を伝えようとした、が受け取られずに実は地面に転がってしまった。 「だって悪い魔女だから」  その声と一緒に落ちていく実。相手の少年が立ち去っても暫く少女はその場に固まっていた。  無くなってしまえばいいのに。魔法で実はどんどん土の中へと沈んでいく。見えなくなってもどこまでも。いなくなれ。いらないものは消えてしまえ。  ……そうだ、私も。  家へ帰った少女は自らに魔法をかけた。眠りにつける魔法を。ずっとずっと、いつの日か悪い魔女とかそういうのが無くなってしまうまで。  とりあえず200年ぐらい眠ればいいか。遠くの国では魔法を使わずに便利に暮らせる術があるらしい。だからその内この町も魔法が大した価値をもたなくなるだろう。  そうしたらきっと、役割だとかどうでもよくなるはず。そう信じて長い眠りについた。 「おやすみなさい」  それだけ告げて、200年間。
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