十三番目の悪い魔女

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「あ、あなたが困ってないなら私が困るから、私に何か悪い事紹介して!」 「……何、その理屈」 「だって私、悪いことしなくちゃいけないの。じゃなきゃ悪い魔女になれないから」  処罰とか何されるのかわかんないし怖いし……と訴えると、少年は何かを思いついたように「あ、」と小さく声を上げた。 「何?何かあった?」 「悪い事をしてほしい相手がいるんだけど」  同じ学校に通う人間達で、色々嫌がらせをしてくる。折角だからその仕返しをしてほしいと少年は言った。  嫌がらせに対する仕返し。そう考えるとこれはいい事になってしまうだろうか。少女は考える。  でも魔女の中には、人間と契約して幸運や不幸を招く者もいる。そこに相手の都合は関係なくただ利害が一致したから。  そんな風に割り切ってしまえば悪い事をする理由など何も気にする必要はない。だってそう、本来誰でもいいはずだから。悪い事さえできれば。たまたまそれが、彼が恨んだ相手だというだけ。 「いいわ、じゃあ契約しましょう」  少女の言葉に少年は少し後ずさった。 「大丈夫、魂をいただいたりはしないから。あなたは復讐ができる、私は悪事が働ける。そう、悪い事をする相手を紹介してもらう契約ってだけ」  仕返し代行が紹介料って事で。そう、これはビジネス。善行などではない。ただの代価。  そう決めてしまえば何も迷う事は無い。それに、した事が返っていくだけなのだと思えば、悪事に慣れぬ彼女にも少し楽だった。  そうして二人は契約を結んだ。
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