《第1章・オネエ協定?》

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白に細い黒色のストライプ柄のシャツ・明るめの青いスーツが控え室のハンガーにかけられている。 髪をブローした後シャツを着て袖口のボタンを留める相川は、聡に呼ばれハッとした。 『何?』 『前のボタン段違い…大丈夫なの?』 『あっ…』 ボタンを留めなおす様子を見て大袈裟に溜め息をつく聡がいて、打ち合わせだと言い彼に話しかけている。早めの昼食も終わり1時間が経った頃の2人であり、サイン会はたくさん経験してきたが今日ばかりは不安になる聡。 書籍を買い大勢の人々が本屋堂に並び相川の登場を待っていて、主に高校生・OL・主婦等女性が多い中で男性サラリーマンも少しばかり並んでいた。 本屋堂書店員・店長、そして出版社編集部スタッフ・聡、打ち合わせにいた男性の待つ中で相川克哉が現れた。 聡は不安だった。 先ほどの相川はまさにリアルな恋わずらいのよう。 ※回想※ 『克哉何して…』 『あっ…舞の胸の大きさ…Bカップより大きいんじゃないかと… ここのところ胸に手をあてがっても無表情でビンタさえないのよ…心配で…』 相川は両手を丸く弧を描くように胸の形を表していて、聡はカッと顔を赤くさせて呆れ。 『リアルな恋わずらい相手は長谷川舞さんになるんだな? 僕は克哉が笑顔になってくれたらそれで良いけど、仕事に支障出さないでくれよ…相川克哉先生っ』 リアルな恋わずらいは原稿だけに表してほしいもんだ、なぁ克哉! ※回想終わり※ 『さて《恋わずらい》ですが前回の作風とは変わり臨場感溢れるシーンもあり、月刊誌掲載時には読者の反応も良くてこの書籍も売れる事間違いないと思います。 あのキスシーン失敗のシーンはリアルに書けてますが執筆の苦労等ありましたか?』 『あぁ…舞の事ね…』 『舞?』 聡は顔をおおった。 克哉ぁ~… その頃舞は以前の住まいのアパートの掃除に汗を滲ませていた。 汚れてもいいジーンズにTシャツという服装でスニーカー。 ただ引っ越す原因になった隣人に警戒してか顔色は青ざめたまま。 『舞?大丈夫?』 『優香…来なくて良いって言ったのに…』 『平気よ』 『でも…』 『平気』 その時隣の壁からドンッという物音がした。 『優香、帰って!こんな思いさせられない!早くっ』『舞…』 『早くっ』 物音はけたたましくなり舞は優香を部屋から外に押し出した。 『ここから離れて、帰って!』 『舞っ!でもっ』
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