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『急に飛び出すなんてこのところの克哉の様子が変な事と関わりがある!?』
『否定はしない』
『長谷川さんなのか?気持ちはわかるが今の克哉じゃあ…』
『安全運転すると誓う』
『僕が行く』
『大丈夫、彼女はアパートを出ていて隣人に捕まる事は…捕まる事は…』
再び捕まらないとは確信が持てない克哉は首を左右に振り、駐車場まで追いかけてきた聡の右腕を握った。『大丈夫だから』
それは彼に言うのと同時に自分自身に言いきかせるような気がしていた。
聡が見守る中で青い車は控えめなクラクションひとつ鳴らして駐車場を左折したが、肝心の目指す位置がわからず見えたコンビニに停まって電話をかける。
『そこを動かないで、迎えに行くから』
彼は言われた店を携帯で調べ住所を打ち込み再び車をスタートさせ、ナビどうりに走らせる為に無理な加速が出来ない事に次第に落ち着きを取り戻していく。
所要時間を表示され早く早くという気持ちだけは募り「はぁぁ…」と溜め息。
克哉から居場所の電話を受けた舞は50メートル先の雑貨屋を伝える。
イケイケ女が追いかけて来る間は無我夢中で走り後ろに見えなくなった10分後、歩きはじめた矢先だった。袖口両方ないTシャツをバッグで隠して雑貨屋駐車場に座り込む。
優香からの着信があり彼女にも居場所を伝える。
…
……
10分後孝典の車から優香が降り舞に駆け寄り悲惨な服を見て彼女をハグした。
『ごめん…舞、ごめん』
『優香…優香優香…謝らないで』
『服と靴を買った店に孝典が迎えに来てくれて…こんなになるまであのニートと闘ったのね…ニートと向き合うなら少しだけ予想は出来たから着替えを買っていたの…だから…孝典の車で着替えると良いわ』
『こうなる事を予想?優香…』
『あのニートからヤってやるって言われていたじゃない…だから…』
うわあぁぁん‥と子供のように泣きだした舞の背中を、優しくポンポンと叩いてあやす優香も泣き出した。『舞ちゃん…優香…』
そんな2人の側にタオルを持った孝典が見守る。
舞に電話をしてから50分後克哉は雑貨屋へとウインカーを出す、彼女が合コンに行った夜に見た車の側に舞達が立っていた。
バック駐車するのももどかしい程、いつもは1度で決まるが早く早くという気持ちから2度目で決まらせ。
マンションや合コン騒ぎで何度か見ている友達に寄り添う彼女を見据えた克哉。『舞っ!』
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