《第1章・オネエ協定?》

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太もも辺りまで黒色の5つのボタンがついた襟なし半袖、膝丈のクリーム色のワンピース。 グレーのストッキングに黒いパンプス。 そんな舞を見て相川は車中で最悪な展開を想像していた為に、大袈裟なくらいの溜め息をついた。 掃除とは思えない服装だが髪を急いで整えた感と、 泣いたらしく目が赤い。 『舞…心配させて…たいした事…なかったの?』 彼は側で小さく笑うと、舞は優香に身を擦り寄せ表情を隠したがった。 『舞?』 《泣いたらしい目、表情を見られたくない様子》に相川は、脳内が良からぬ事を想像し怪訝な顔になる。 『舞…服は着替えたの?まさか襲われ…』 ビクン‥ 舞は体全身で反応し相川に背を向けた。 彼女を抱きしめるように手を背中に当てた優香が口をひらいた。 『だいたいは想像出来るかと思います、だから…』 『聞かないであげてくれ?と…服を破かれる程ひどい仕打ちをされ?…』 舞への愛しさ‥ 襲った隣人への憎しみ‥ 相川はそんな思いから首を左右に振り車のドアを開けた。 『相川さんっ!何処へ?』舞の代わりに優香が聞く。『隣人に謝らせる!』 『アパートに戻ると?』 ビクン‥ 優香の腕の中で舞が震え、首を左右に振った。 『相川さん…もう2度と隣人ニートには会いたくないの…』 相川・優香・孝典が顔を見合わせる。 その時相川の携帯がなりスーツのポケットから出し電話に出る。 『はい相川』 『聡です、彼女は?』 『目の前にいる…』 『どうしたんです?えらく動揺した声色…』 『大丈夫…大丈夫だ、聡…彼女をマンションに連れて帰ったら会場に戻る…』 『克哉…克哉?』 『大丈夫…安全運転で帰るから…決してアクセルを強く踏まないと約束…する』『克哉!やっぱり僕が迎えに行けば良かっ…』 『ダメッ…だめだ、俺が…はぁ~…間に合うように戻る』 『克…ーー』 聡との電話を終わらせると、3人は会話に聞き耳を立てていたらしく今更ながらスーツに注目した。 『何かの途中で抜け出して?』 孝典が聞いた。 『サイン会です』 『相川さんあたしのせいで仕事中に…ごめんなさい』『舞…構わない』 相川さん…
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