《第1章・オネエ協定?》

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1部・2部とお客を分けた為、1部に居た河田達が帰った事を相川は気づいていた。 河田を《よく思わない思えない》にしろ相川は平静を装い作り笑いをするつもりでいた。 だが河田は連れのA先輩へ書籍を渡しサインを拒否していたのだ。 舞が想う彼は数時間前にここにいたのよ… 連れの女性へのサインが終わった後は彼らがすぐに会場を出たのかわからない… こっちだってサインを待っているお客へと視線も意識も移ってしまうから… 舞がここに居る! それはまぎれもなく迎えに行った自分自身の行動のあらわれから得た事実! 『では相川先生自身の恋を反映させたっていう事で良いですね?』 『自分自身の…?』 『《恋わずらい》はアイカツ自身っていう』 『あぁ…それは皆さんの想像にお任せします。 あくまでも小説、読者の夢を壊したくはないから…』 司会者の含み笑いの後インタビューは終わりサイン会にうつって、第1部のようにお客が列をつくる。 愛想笑いとサインと握手を続ける彼の姿は1時間続いた。 … …… 書店への挨拶も済ませ外に出る出版社スタッフ・相川達は夕食へと向かって車を走らせた。 それから2時間後賑々しいスタッフと別れ相川は、聡へも手をあげるとニヤニヤする表情で見送られる。 『ごめん…夕食までつき合わせて…本来なら週末は楽しいデートのはずなのに』『いいの…河田さんだって忙しい人だもの…あたし仕事中に電話なんかかけちゃって…』 『いつ?』 舞が言う時間は相川のサイン会第1部にあたる。 『そういえば誰かの携帯が鳴って…』 『相川さん?』 『河田は折り返し電話を?』 『かかってこなかったわ…きっと仕事が忙しいのね…あたしってバカ…』 周りの景色は街中を楽しそうに行き交うカップルや2次会に向かう会社員達。 舞だってあの人達のようにディナーやデートで笑っていていいはず! 『舞ちゃん…河田が好き?』 舞… 河田は仕事なんかじゃない! サイン会会場に居たの! サインを拒否した彼は舞を助けに行ってもいいはず!それはそれで悔しいに違いないけど… 『わからなくなってる…あたし…』 舞!…ーーー。
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