《第1章・オネエ協定?》

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とある午後、相川は河田が勤務するレンタル屋中野西店に来ていた。 彼はチラチラと会話のタイミングをつかもうと借りるはずもないDVDを見て。 返却されたDVDをケースに入れる河田の同じような動作、自身の隣の棚に移った瞬間が話しかけるチャンスだと相川は行動にうつす。 『お客様…俺とデートですか?間に合ってます』 『相手は長谷川舞さん?』『………』 『他に?ホテル前やのれん亭の前で見た髪の長いーーー』 河田は会話をはぐらかせようと、わざとらしく忙しそうにケースに戻すペースをあげた。 『お客様には何も関係ないと思いますがっ?』 相川は《疑惑の彼ら》っていうタイトルを手に取りニヤリと笑った。 『すみません、コレって内容知りたいんですが』 『わかりました、長谷川さんにメールしておきますから』 『あた…俺も混ぜていただきます』 『なんでっ!?』 『かかった費用は俺が持ちますから』 『タダ飯?…仕方ないですね』 フッと笑い相川は借りる事もなく店内を後にした。 *** アサヒコーポレーション。相川の交渉から1日経った水曜の昼休み、 優香にメールを見せる舞。 『久しぶりに河田さんからメールがきたの、優香の都合を聞こうかと思って』 『なんであたし?』 【長谷川さん金曜日あいてる?ボブスタイルの友達も誘って駅前に7時、河田】 『なんであたしも? 孝典がいるのに行けないわ』 『そうよね、ごめん』 舞はメールで返す。 『友達は行けない』ーと。 しかし河田の返事はこうだった。 【友達が行かないならデートもなしかも、河田】 友達思いの優香は渋々参加し、孝典は彼女をじっと待っている金曜日の夜。 河田は優香のメアドをひつこく聞き1時間もしない内に彼女は席を立った。 『どうしたの?化粧室なら連れて行ってあげるけど』『悪いけどあたし帰らなくちゃ』 『なんで?優香さんメアド教えてよ』 河田は食い下がるように優香のバッグを掴んだ。 『嫌がっているでしょう』相川は河田の腕を握った。 優香は舞・相川に手を振り財布から5000円札をテーブルに置いて居酒屋を後にする。 『ふんっ…』 河田のその一言は相川に?優香に? 真意はわからず30分もするとお開きとなった。 『舞、友達の5000円は返してあげて、ここはあたしが』 『相川さん』 河田はなにやらメールを打っていたが舞にではなく。 複雑な心境で彼女はじっと河田を見ていたが。 このモヤモヤは誰に対して?…
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