《第1章・オネエ協定?》

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『アタシト…マイノ…~』 うつ向く彼に聡はニヤニヤしながら詰め寄った。 『よく聞こえませんね』 『だーかーらっ、舞との隣人協定っ』 相川は協定ファイルを取り返そうと手を伸ばしたが、反対側をむかれ手をヒラヒラさせるしかなく。 『「胸の話題はださない」…変わった隣人協定を結んだようで…寝たの?男になった?』 『まだ…ーー違うっ』 『顔赤いけど?そういう関係を望んでいるって書いてありますよ』 『…からかうつもり?』 『担当としてリアルな恋の感情をストーリーに反映させなさいーーって事。 オネエ協定…おもしろいと思うけど?』 『舞と2人の協定だから誰にも…』 『わかったわかった… これ《恋わずらい》の感想という名のファンレター』 聡はパンパンに膨らんだファンレター入りのバッグを示すと立ち上がった。 『何処へ?泊まっていかない?舞が元気なくてなんだかやるせなくて…聡がいてくれたら気が紛れる…』 『キスしてほしいんだ?』『聡…』 チュッ‥チュッ‥ 軽いキスをした後彼は。 『長谷川さんの気持ちだけは克哉しかわからないんだから、アドバイスはしないつもりです』 そう言い部屋を後にした。 【克哉しかわからない】 どうしょうもない… だって舞は河田の事で気持ちいっぱいいっぱいなんだから… 付け入る隙もないかもしれないから… テレビをつけるとイタメシの中継をやっている。 『んー…皆さんもこの味でハッピーになっちゃってくださいね~』 マイクを持った女性リポーターが美味しそうにナポリタンを口にする。 【ハッピーに】 イタメシかぁ… 嫌いな女なんていやしない! 舞がエレベーターからこっち通路に来る靴の音。 『イタメシ?』 『そう、夕食まだでしょ?』 舞… イエスと言って!
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