《第1章・オネエ協定?》

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出版社から車で10分だがマンションからだと1時間の場所にイタメシの店はある。 30台の駐車場はほぼ満車に近く相川の車で満車表示が出るくらいの繁盛店だ。 外装は白、店内の白い壁・赤いカーテン・黒の床に赤白緑の旗があちこちにありアクセントをつけている。 長方形のテーブルに赤・クロスさせるように白のテーブルクロス。 黒と白の制服をきたホールの男女が往き来する。 そんなホールスタッフにうやうやしくお辞儀をされ奥のテーブルに案内されると《予約席》。 30席は相川らが座ると満席になり、ホール男性が本日のおすすめを喋っている。 2人共に本日のおすすめのパスタ・魚料理をオーダーしていた。 はぁあ‥ 2人になると向かいに座った相川が苦笑する。 『どうしたの?ため息なんかついて』 『イタメシには時々優香と行くけど、ここはツーランク上っていうか…あの…』 『緊張?』 『もっとカジュアルな感じかと…予約席って?』 『夕方予約しちゃって…あはは。 舞がついてきてくれなかったら聡を誘うつもりだったけど』 『呆れたっ!相手を誘う前に予約席確保って…。 あたしも中谷さんもダメだったらどうしたの?』 『出版社の誰かを連れてくるしか…』 『疲れてるって言うあたしに笑顔で「美味しいから」って…』 『結局お腹も鳴ったしついて来たじゃない』 『なかば確率30パーセントの誘い方をしなくても』 『30パーセントなんだ』 相川は嬉しそうに笑った。1パーセントじゃないなら…ーーー 『舞の為…笑顔になってほしくて…』 『あたしの為?…』 前菜・イクラとサーモンとエリンギのパスタ・魚料理・デザートを食べた頃、 舞の顔は幸せだと主張しているかのよう。 時間は閉店ギリギリになり、まわりの客も満足そうに席を立っているようだ。 『相川様、またのご来店お待ちしております』 ホールスタッフ3人ならびお辞儀をされ見送られる。 『美味しかったわ、ありがとう』 にこやかに笑う相川は緊張すらしていない。 … …… マンションへと向かう中で舞は数々のパスタとデザートに夢中だ。 『まだまだたくさんメニューがあったわ…』 『パスタ好き?』 『大好き…甘いデザートも大好き…』 相川は目を細め含み笑いをした。 今度はスムーズにイタメシ交渉が出来そうね… 馴染み客のあたしの横に舞がいてくれたら…ねっ!
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