《第1章・オネエ協定?》

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*** とある夜、釜飯処。 相川が河田を促し3回目のデートとなる。 デートというよりは河田・舞・相川・優香のただの食事会にすぎない。 河田は隣に座る舞のスカートに手を這わせても、斜め向かいの優香にしつこくメアドを聞いていた。 『ねぇねぇ優香さーん、美味しい店知ってるから直接メールするからさー』 『あたし舞の付き添いだけだから』 『食事だけだよ、食事だけぇ~』 しつこく言いよる河田にだんだんと場の雰囲気も悪くなり舞・優香は互いに顔を見合わせ席を立った。 すかさず河田も立ちテーブル越しに優香の腕を掴む。『なにも一晩つき合えって言ってるわけじゃないじゃん』 相川は怒りを我慢し会計の為に舞と優香を先に個室から出るよう促した。 優香を河田から守るようにさりげなく、彼女を個室外の店内へ繋がる引き戸へと。 『相川さんご馳走さまでした、舞また電話する』 追いかけようとする河田は、店に入ろうとしていた集団のサラリーマンに阻まれる。 『……長谷川さんもう1件つき合わない?』 仕方なく舞の肩にまわされた彼の手にギュッと力がこもる。 あたしは苗字… 優香には名前… 孝典くんがいると言っても優香に言い寄ってた河田さん… あたしって魅力ない? 『あたしって魅力ない?』 『はぁ?』 『あたしってまだ長谷川さんですか?』 『何わけわかんない事、魅力?だったら一晩つき合えば?』 河田は舞の手をとり走りだす。 『待ってっ!パンプスじゃ早く走れないっ』 『ほらよ』 河田は舞の膝を抱え持ち上げるように。 舞の上半身は彼の肩から背中でフラフラ揺れる。 相川が追いかけ舞と目が合った。 『舞っ…舞っ!』 そんな相川を見て胸が高鳴ってく舞がいて…ーー。 … …… 釜飯処から走って10分、いけない建物の前になる。 ハァハァとあらい息をしながら彼女を乱暴に降ろすと、河田は舞にキスをした。 『…う…』 乱れたあらい息が唇から伝わる。 あたしこれでいいの? 河田さんのキスが欲しいの? 憂鬱そうに悩んでた日々は一晩の行為で解消されるの? 不意に舞の脳裏にイタメシでの相川の笑顔が思い出された…ーーー。 【舞が笑っていれば良い】彼の言葉も…ーー。
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