《第1章・オネエ協定?》

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『おまえら勝手な事言ってんなよ』 河田が言った言葉に舞は胸を高鳴らせた。 あたしをかばってくれるの?… セフレも! 友達も! 名前を間違えた事も! 友達が言った勝手な事なんだよね? 5分後舞の携帯が鳴り始め店内奥のトイレ前に移動する。 『舞ちゃん…時間潰ししてるから店を出たら連絡…』電話は相川からになる。 『相川さん待ってなくて良いわ』 かばってもらった事への嬉しさから弾むような明るい声で言い電話を終わらせる。 気のせいよ… 優香とあたしが一緒に居たから河田さん容姿も名前も間違えたのよ… 優香のメアドの事もあたしの親友だから知りたいと?ううん… 本当にそう? 3回のデートで優香へ言い寄る河田さんの、ひつこさに落ち込んで… ううんううん… 最近河田さんからのデートの誘いがあるだけで気持ち浮上しなきゃ! フッと相川の笑顔が思い出されトクン‥と胸がざわめく。 ううん!違う! 舞は笑顔をつくり席に戻る通路へ。 換気のサァァ‥っていう音、店員・お客の話し声に混ざり河田の声も聞こえてきた。 『焦るだろーが』 『俺ら徹がいつも言ってる事しか喋んないけど?』 『言って良い時と悪い時ってあんだろっ、ったく』 『いない内に聞くけど誰が本命?A美?長谷川さん?優香さん?』 『相性良いのはA美だよ、他は喰ってみなきゃわかんないな』 『優香さん狙い?』 『長谷川さんとつき合ったのは一度見た優香さんへ近づくため。 っていうか長谷川さん味見もして良いかと思って』 なっ… 河田さん… 優香に近づくためにあたしと!? トン‥ 席と席をへだてる木製の囲いに手をついて身を隠す舞。 河田らの会話は続く。 『セフレにならないセフレ…って徹言ってたからつい喋っちゃったけど。 親友の優香さん狙いだったとは遠回りな事しなくても』 『長谷川さん経由じゃないと優香さんデートに来ないじゃん。 長谷川さんみたく雰囲気甘ったるいの前彼女で飽きちゃってんの。 だから優香さん良いなって』 そういう事…! そういう事なの… 河田さんっ!
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