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涙が頬を伝い舞は唇を噛みしめトイレの個室で声を殺し泣いた。
…
『電話終わった?焼き肉もうほとんど残ってないけど追加注文するけど?』
席に戻ってきた舞に河田が言う。
『ううん…いい…』
座ろうとした彼女を見て、それならばと皆席を立つ。
…
……
肩を抱かれ歩く方向はいけない建物が見え。
恋人同士であれば自然の成り行きで甘いムードでささやきながら、ってとこだろう。
だが舞はグッと涙をこらえてアスファルトを眺め、隣の河田をシャットアウトするかのように無表情だった。
建物内、1階。
『高いのしか残ってない、長谷川さん半額分出せる?』
無言を了解ととったのか彼はボタンを押し廊下を進む。
室内に入ると河田は当たり前のように舞をバスルームに促し、彼女の服に手をかけた。
『優香さんさぁ俺の事嫌ってる?いまどき彼氏いてもセフレくらいいるでしょ。彼女に俺をアピールしといてよ』
『………』
『優香さんに1人の彼氏だけじゃつまらないって言っておいて』
『………』
舞の下着に手をかけようとした河田。
嬉しさもなく嫌悪感が彼の手を払いのけさせた。
服を脱がせながら親友へのアピールだなんて最っ低っ!
この人を好き?
わからない!
河田さんの曖昧な態度が気持ちをわからなくさせたの!
『帰りますっ!』
床に落とされた服をかき集めながら舞は言った。
『はぁぁ?』
河田の表情が変わった。
『高い部屋の料金どうすんだよっ!?長谷川さんも使えねぇなぁ!』
相川さん…
隣人ニートの件以来苦しい状況下になると舞は相川の事が浮かんだ。
相川さん相川さん…
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