《第1章・オネエ協定?》

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アイスクリームはバニラのなめらかさとチョコレートのパリパリ感が舞を幸せな顔に変え、先ほどの河田に対するモヤモヤも消えたような気がしていた。 『色気より食い気?あの男の事でつらそうな顔をするよりは良いわ』 『あたしは河田さんに恋してますっ』 『あっそ…じゃあデートしたら良いじゃない』 『河田さんメールしても1~2行の短い文章で素っ気なくて…あたし河田さんあたしでメールが終わっちゃうの。 電話も何故か彼の都合悪い時間帯みたいで約束すら出来なくて』 『舞…悪かったわ…』 色気より食い気?等と言うべきじゃなかったと相川も黙る。 アイスクリームがのっていた皿は空になり、スプーン共に2つのそれらを流しに持って行きカチャカチャと洗い始める彼女。 タオルで手を拭きながら舞は相川を見て笑いソファーに座る。 『何故あなたがあたしより哀しそうな顔をするの?』『舞の哀しい顔を見たくないだけ…笑っていてほしい…』 『おかしいわよ、まるであなたがあたしに恋してるみたい…な?ーーーえぇ~っ!?中谷さんラブじゃ?』『聡ラブって…聡とは舞と知り合う前から好きだもの、今更何?』 『あたしが言いたいのはあなたがあたしに恋…嫌ぁあ~』 『さっきまで泣きそうな顔をしていたのに今じゃ膨れっ面、そーんなにあたしに好意を抱かれるのが嫌かしら?』 『アイカツは好きだけど生の相川さんはアイカツじゃないもの、イメージ違い過ぎて調子くるうのよ』 『アイカツからくる作家イメージは?』 『パソコンが似合うメガネをかけた良い男、間違っても髪が腰までの長髪オネエじゃあないわ』 『腰までの髪を肩までに切ったじゃないっ。 それに元からオネエじゃないし10代の悲しいトラウマが女を遠ざけたんだもの。私生活でもアイカツを通していたんじゃアイカツは執筆出来ないわ。 私生活の相川克哉があるからキザなアイカツも生まれるのよ』 『ふぅん…けどアイカツのキザな会話を読んでも、胸を掴むエロな相川さんが浮かんで現実に返される時があるの』 『胸を掴むあたしが?嫌だ嫌だと言いながら掴んで欲しいんだ?』
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