《第1章・オネエ協定?》

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【嫌だ嫌だと言いながら掴んでほしいんだ?】 『ばっかじゃないっ、自信過剰のエロカツだわ。 あたしは思い出すって言っただけで、どうしてそういう風にとらえるの?』 『小説家だからに決まっているわ』 『小説家…そういえばこんな話をする為に来たんじゃないでしょ?話って何?』『上手く胸話題をはぐらかしたものね、だけど(笑)…話って舞には不利な事かもしれないけど』 相川は舞を見据えながらソファーからソファーへ、彼女は立ち上がった。 『な…何?』 テーブルに置いた携帯小説を手にリビングから離れようとする舞がいて、そんな彼女をおもしろそうに眺める彼がいて。 『何処に行こうというの?場所が同じだと良いんだけど(笑)』 『何がおかしいのよ、河田さんからメールの返事来ないからふて寝する…ひゃっ、離してよっ!』 彼女の悲鳴はベッドルームへと向かう後ろから彼が彼女をお姫さま抱っこをしたからだ。 『離してっ!抱き上げる為に来たの?違うでしょ、話をする為じゃないの? 寝る前に抱き上げないでっ、また相川さんの香りで眠れなくなるからっ』 『眠れなくなるから?(笑)』 『嬉しそうに笑わないでっ…ねぇ、おろしてっ』 『おろしてあげるわ、舞のベッドの上にね』 『なっ…』 『ふて寝するんでしょ、つき合ってあげる』 『話があるんじゃないのっ?さっきから聞いてるんだけどっ』 『だから実行してるんだけど』 『ベッドへ抱き上げる事が?』 ベッドの前でゆらゆらと舞をあやすように揺らしながら、相川は勝ち誇ったようにまた笑う。 『次のシーンでベッドルームに連れていく描写を考えてるわけよ』 『だったらパソコンの前でエロ全開で考えたら良いでしょっ』 『エロ全開で?わかったわっ』 相川はフッと笑いながら舞を布団の上にそっとおろした。
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