《第1章・オネエ協定?》

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舞は布団の上に寝かされ携帯小説が手から離れ、彼女のウエスト横にパサッと落ちる。 『買ったばかりの携帯小説が…』 相川は舞の両肩に手をついたところだった為に、舞は上半身をおこして本を取る事をためらい手探りで指先を動かした。 本の感触はあるものの手探りする程に本が遠ざかるようでイライラする彼女。 『もうっ、あなたのせいで取れないじゃないっ。 覗きこむようにしないで体を退けてよ』 『何?あぁ携帯小説?あたしに構わず上半身おこして取れば良いじゃない』 『体が触れるから嫌、っていうかあなたが取ってよ』『はいはい…ワガママお嬢様、たかだか上半身の触れ合いじゃない…ケチッ』 右手を伸ばし本を取り表紙の帯を意味有り気な表情で眺め彼女を見る相川。 『アイカツの掲載月刊誌は買わずに舞はこんなのが好きなんだ? ふぅーん… 【俺色に染めてやる!よそ見厳禁!】 帯のコピーは派手に書くから…タイトルは… 【溺愛ダーリンお姫さま抱っこして】 ふぅーん…冒頭は… いきなり壁ドンから始まるの~、あごクイね~。 河田からメールなしでふて寝してこんなモノ読んでジレジレするんだ?』 『返してよっ』 『えぇと…もう一冊は… 【ドキドキ必須!かわいがってやるから!】 帯がこれで…タイトルは…【ワンコ系男のキュン活動】(笑)』 『か、返してよ』 相川は舞の胸の上にポンポンと2冊の本を置いた。 『ひゃっ…止めてよ、ふ…普通に返せないのっ』 『感じたんだ(笑)』 『へ…変態っ、ねぇ布団から下りてよ、寝られないし本も読めない』 『あたしが読み聞かせしてあげるわ、眠れないなら添・い・寝』 『あなたに添い寝されるならリビングで寝た方がマシだわっ』 『抱いて行こうか』 『結構ですっ、圧迫感あって気になるの…退いてよ』 舞が言うように相川は彼女の両膝横に膝を付き、両肩に手をついているから。 『ダメ~…ベッドシーンの描写だもの、エロく迫ってほしいのね』 『あたしそんな事言ってないっ』 『あら~パソコンの前でエロ全開で…って言ったじゃない。 パソコンの前じゃ想像力に限界があるのよ。 隣に舞がいるんだもん、利用しなくちゃ』 『中谷さんに言いつけてやるっ』 『あら~、聡はこの間のシチュエーションリアルでおもしろかったって喜んでる…反対はしないわ』 『エロカツ共謀者…』 『あらエロカツ共謀者?実行して良いの?(笑)』 相川は舞の首筋に顔を近付けた。
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