《第1章・オネエ協定?》

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《恋わずらい》のハードカバー本刊行記念相川克哉サイン会! 本屋堂A書店○月○日昼1時より開催! そんな日程は恋わずらい書籍決定時に出版社で決まっていた。 とある夕方レンタル屋中野西店に、河田の先輩にあたる女性が店に入ってきた。 『元気そうね』 『先輩お久しぶりです』 『顔出しなさいよ、後輩でしょー』 『すみません、今日は何か?』 河田は返却されたDVDを、カタンカタンとパッケージケースに入れては戻していた。 『あのさ友達が行けなくなったからサイン会つき合ってくれない?』 『先輩まだあの作家のファンなんですか?』 『文句ある?今度恋わずらい書籍記念サイン会があるのよ、日程はね』 『俺の意思やシフトは聞かないんですか?』 『だから前もって来てやってんのよ』 『はぁ~…○月○日?シフトどうなってるかな』 A美が向こうから睨んでいるとも知らずに承諾する河田。 数時間後、休憩室でしつこく責めるA美は言うまでもなく。 『学校の先輩なんだよ、カレカノのつき合いじゃなく体育会系?先輩後輩の関係だから』 納得いかない彼女は毎晩の夜をねだりニヤニヤとする河田がいて。 『長谷川さん引っ越し先はよく知ってると思うけど』よく知ってる?… ランチタイム、箸を置いてイケイケ女からメモを受けとった舞は悲鳴をあげそうになり慌てて口を押さえ。 優香は怪訝そうに舞からメモを取りイケイケ女を抗議の眼差しで睨み付けた。 『これは舞が住んでいた場所じゃないっ!』 『だから何?他にいないから頼んだんじゃない』 『彼女はねっ!』 『優香…』 口にされるのをためらい舞は優香の手に手を重ね首を振った。 『どうしてっ?引き受けたくないでしょっ』 イケイケ女は彼女らの会話はなかったかのように仲間と出ていった。 『バカをみるのは舞よ』 『ん…、だけどあたし何度も断っているのに聞く耳もたないんだもの。 あの人に会わないように気をつけるだけ』 『○月○日の朝9時現地集合って…』 舞も優香も必要以上に目だっていて途端に恥ずかしくなりうつ向いた。
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