第1章

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 窓の外、 遥か下に広がる公園を見つめる。 コンタクトを外した私の裸眼は、 0.1程度。  だだっ広い公園も、 ポツリポツリと灯る電灯も、 真綿をうっすらかけたように、 ぼんやり夜に溶け込んでいる。  病院の消灯時間から、 どのくらい経っただろうか。 大量のステロイドを投与されている私は、 睡眠剤を使ってもすぐに眠りから覚めてしまう。  24時間、 輸液ポンプから首の静脈に向かって、 栄養やら薬やらが送り込まれる。 最後に口から食事をとったのは、 いつだったっけ。  たぶん、 治療はうまくいっていない。 やせ細る身体と治まらない腹痛がその証拠だ。
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