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「透明人間?」
「うん。
透明人間でいいね」
そんな願い事した覚えないけどな。
強引に話を進める息子をぎゅっと抱きしめる。
重さはないけれど、
温かい。
この世の終わりに、
神様は最高のプレゼントをくれた。
息子と戯れながら最期の眠りにつくのは、
悪くない。
「じゃあ、
透明人間でお願いしますね」
私が頭を下げると、
にやりと笑った息子が、
私の頬を両手で挟む。
「じゃあ、
いきますね~。
ぱおーん、
ばーばが、
ジャービルになっちゃった~」
体が軽くなり、
私は宙に浮いていた。
ぼやけていた視界が、
鮮明になっていく。
下を見下ろした私は、
硬直した。
そこには、
もう一人の私が寝そべっていたのだ。
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