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「ぐはっくぅまだまだ!!」
そういって槍をふるうが空を切るばかり。
(ふむ、確かに才能はあるがまだまだ粗削りだな。鍛えてやれば京の守護隊長になれるかもしれんな)
避けながら、または受けながら上官はそう考える。
「おおおおおおお!!」
声を上げて斜め上から突く。
「あまい!!」
一歩引いて躱すがすぐに突きを出すため一歩出る…が、その時には行劉は宙を舞っていた。
「いやぁっ!!」
背後を取り気を高めて、突きを出す。
ズドンッ
そんな音と共に上官が吹っ飛んだ。
「あっ…やってしもうた…」
慌てて上官のそばによる。
「いたたたた…まったく…少しは加減しろ。背骨が折れるかと思うたわ。しかし…最後の突きわしにもマネ出来ん業だったな。おぬし本当に槍だけか?」
「それが…その…私めは幼少のころより鬼が見えまして…。そのせいなのか風の中に男が見えるのです」
正座をしながら言う。
「しかし…鬼ながらともかく、風の中に男などだれも信用なさらぬようで…、今まで隠しておったのですが…何かの拍子に男が手を添えて風を起こすのです」
「風…ならおぬしなぜ陰陽寮にはいらなんだのだ?」
「それが…どうも鬼が恐ろしくて…毎日のように見るようになってはとても陰陽師の政など出来るはずもありません」
頭をかきながら言う。
(こやつ…本来なら陰陽師になるべきものかもしれんな。晴明殿に相談してみよう)
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