視線

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彼を見ていた。 最初は周囲と違う雰囲気が何となく気になる…という興味だった。 窓からの光で輝きながら透ける黒髪、静かに伏せる目元は意外に睫毛が長く大人びていて。 男子だと言うのに細めの指が時折ページをめくる。 不思議な雰囲気を身に纏う彼を「綺麗」だと感じて戸惑った。 前髪がぱらりと落ちて目元がよく見えた瞬間。 大人びていた目元が幼い子供のようにくしゃりと細められ、唇が笑みを作った。 心臓を捕まれたように目を離せなくなる。 自分の鼓動が聞こえた。
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