出会い~宇佐木side

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前夜から雪が降り続いていた日。 「うわ…まだ雪降ってんのか。食堂行くのに中庭抜けんの嫌だな~」 体育会系の俺でも寒いものは寒い。 食堂に続く道には屋根があるが、1人歩けるくらいの幅まで雪が積もっていた。 膝下くらいまで積もってる様子に余計寒さを感じつつ気合いで中庭へ出る。 ふと見れば雪に埋もれつつ立っている人影。 「なにやってんだ…あいつ」 男子生徒だと解る背中、首にマフラーしか巻いてない。 髪や肩にはうっすら雪が積もり、膝下は雪に埋もれている。 こんな寒い中、薄着で何してるのか気になったが… まあ、男だし大丈夫だろと食堂へ向かった。 大好きなカレーパンやら焼きそばパンやらを抱え、ご機嫌な気分で帰る途中。 中庭の人影は微動だにしてないのか、同じ姿のまま髪や肩の雪が更に厚くなっているようだった。 「人…だよな」 こんな寒い中で、生きてる奴があんなに我慢出来るものだろうか。 幽霊なんて見たことないけど不自然すぎて少し寒さが増した。 「あー…面倒くせ。気になるなら行く方が早い」 元々こんな性格だ。 気になるのを放って行くのは気持ち悪い。 もし弟があんなことしてたら首根っこ掴んで容赦なく風呂にぶちこみたい気分だった。
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