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「はい」
トントンと階段を上がる智一さんの後ろを、
スキップしそうな感じでついていく。
私の部屋に入ると、
智一さんはぎゅーっと抱きついてきた。
「疲れた……」
「お疲れ様でした」
ベッドに座って、智一さんを膝枕してあげる。
眼鏡を抜き取ってベッドサイドにおき、
ゆっくりと髪を撫でる。
……いつもはきりっとしてる智一さんが、
こうやって私に甘えてくれるのが大好きだ。
「一週間も菜緒と会えないなんて、最悪」
「仕方ないですよ、お仕事だったら」
「でも嫌なもんは嫌」
仰向けに寝た智一さんが私の顔を見上げる。
ド近眼な智一さんには眼鏡がない現在、
よく私の顔が見えてないはずだけど。
「じゃあ、ご褒美です。
バレンタイン、過ぎちゃいましたけど」
用意していた紙袋をみせると、
智一さんは嬉しそうに笑った。
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