ショコラキス

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瞼に、鼻に、唇に。 何度も優しくふれる唇に、 私の身体は溶けたチョコレートのように とろとろになってしまう。 「智一、さん」 「ん?」 見上げると智一さんは困ったように笑ってる。 そのままぎゅーっと 自分の胸に私の顔を押しつけて抱きしめた。 「ダメだよ、菜緒。 そんな顔で俺を見ちゃ。 我慢できなくなるから」 「……はい」 私の心臓の鼓動が移ったんじゃないか ってくらい、 早い智一さんの鼓動。 落ち着くように深呼吸を繰り返す 私に合わせるかのように ゆっくりとなっていく。 「……卒業まで待つのは結構きつい」 「……ごめんなさい」 私が高校生だから。 智一さんにはいろいろ、我慢させてる。 いつもそういうのが申し訳ないな、って思う。
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