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「菜緒のせいじゃないから」
チュッ、
ふれた唇にぎゅっと智一さんに抱きついた。
……早く。
早く、大人になりたい。
しばらくすると智一さんは再び眼鏡をかけ、
脱いだジャケットを着た。
眼鏡をかけた智一さんは
さっきまでの甘い顔と違い、
冷たい顔になってしまう。
「……今度はいつ、会えますか?」
俯いてジャケットの裾を掴むと、
あたまぽんぽんされた。
「しばらく出張、ないはずだから。
明日も寄れたら寄る。
……そうだ。
週末、泊まりのおいで。
母さんたちには云っておくから」
それでも機嫌の直らない私に
智一さんはため息をつくと、
ぎゅーっと抱きしめてくれた。
「困らせない」
「……はい。
ごめんなさい」
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