3:小さい頃は

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小さい頃、兄さんは私にとってヒーローだった。 いつも私の味方で居てくれて、泣いている私の傍にすぐ駆けつけてくれて、私を助けてくれた。 「ミケ!どうした?」 「花いちもんめをしてたら…、りょーた君としょーま君が喧嘩し始めて…」 私がその二人を指差すと、 「だって、こいつ、みけちゃんばかり狙ってくるんだもん!」 「お前がみけちゃんを奪ったからだろ!」 「――ばかたれいっっ!!」 兄さんはクワッと目を見開き、二人を怒鳴った。 「俺の断りなく、ミケを奪い合ってんじゃねー!」 叫ぶ兄さん。 鶴の一声とはこのことで、兄さんが怒鳴るだけで、チビッ子達は一瞬でおとなしくなった。 強面で周りに怖がられていた兄さんだけど、私にとっては一番に格好良くて…。 「――ミケ。相合傘って知ってるか?」 「…あいあいがさ?」 その日も私と兄さんは一緒に海岸の砂浜で遊んでいた。 「こうやってハートの傘を書いて、ここに名前を書くと、その二人は結ばれる、って」 兄さんは砂のキャンパスに木の棒で傘を描く。 そして傘の下の場所に寝そべった。 「ミケもここにおいでよ」 兄さんはその隣を指差して、私を手招いた。
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