2人が本棚に入れています
本棚に追加
小さい頃、兄さんは私にとってヒーローだった。
いつも私の味方で居てくれて、泣いている私の傍にすぐ駆けつけてくれて、私を助けてくれた。
「ミケ!どうした?」
「花いちもんめをしてたら…、りょーた君としょーま君が喧嘩し始めて…」
私がその二人を指差すと、
「だって、こいつ、みけちゃんばかり狙ってくるんだもん!」
「お前がみけちゃんを奪ったからだろ!」
「――ばかたれいっっ!!」
兄さんはクワッと目を見開き、二人を怒鳴った。
「俺の断りなく、ミケを奪い合ってんじゃねー!」
叫ぶ兄さん。
鶴の一声とはこのことで、兄さんが怒鳴るだけで、チビッ子達は一瞬でおとなしくなった。
強面で周りに怖がられていた兄さんだけど、私にとっては一番に格好良くて…。
「――ミケ。相合傘って知ってるか?」
「…あいあいがさ?」
その日も私と兄さんは一緒に海岸の砂浜で遊んでいた。
「こうやってハートの傘を書いて、ここに名前を書くと、その二人は結ばれる、って」
兄さんは砂のキャンパスに木の棒で傘を描く。
そして傘の下の場所に寝そべった。
「ミケもここにおいでよ」
兄さんはその隣を指差して、私を手招いた。
最初のコメントを投稿しよう!