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答えると、小遊鳥君は興味深々に目を輝かせた。
「へぇ。ミィにはお兄さんが居たんだ。
どんなお兄さん?」
「…どんなかを説明したくないぐらいどうしようもない兄だよ…」
そう言って私は、吹き付けてくる潮風に靡く髪を押さえた。
今、私達は海岸沿いの道を歩いており、左手には海と砂浜が広がっている。
「今日も夕日が綺麗だな」
海のほうを向く小遊鳥君はぽつりと呟く。
「うん…」
私もその光景を視界に収めながら、歩く。
今に沈もうとしている夕日が海に乱反射して眩しい。
そのオレンジ色の光が、砂浜で遊ぶ家族やカップルの姿を影絵のように浮かび上がらせていた。
夕日の綺麗なこの海岸は夕日ヶ浦と呼ばれており、この周辺地域の人々の憩いの場でもある。
そして――。
思い起こせば、そこは小さい頃に私がよく兄さんと一緒に遊んだ場所でもあった。
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