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「信乃が神様に教えているの?」
マジでバカだったからさぁ…
本当に恥ずかしいことしか言えなかったの俺。
神様は親指で俺の唇をフニフニ押しながら…楽しそうに言った。
「ふふ…確かにお前にとって私は神様の様なものだけどねぇ…どうせなら名前でお呼び。」
神様の親指が俺の口の中に入り込んで上あごを撫で上げる。
ゾクゾクと背中に鳥肌が立つのを感じたよ。
これで…あの人は味をしめたんだろーなぁ…
小さい俺によく指をしゃぶらせる様になったんだぁ。
「……んふっ……きゃみちゃ…ま…。」
「信乃…私は潔美…華岡 潔美(はなおか きよとみ)さぁ言ってごらん?」
親指が口に入ったまま名前言わせるんだよぉ~
言えるわけないじゃんねー。
「しゃなほは…くおちゅみゅ…ほにゃふは…ちゅおちゃみ…。」
「華岡だよほら…ちゃんと言ってごらん…。」
俺はさ…口の中の親指を噛まない様に必死なわけー。
なのに…あの人わざと歯の当たりそうなとこに指を入れるわけよ。
言えるわけないじゃんねー。
何度も何度も言わせるわけよ…んでとうとうあの頃の俺ってば泣いちゃったわけよ。
……それが、あの人が最も欲していた俺だったんだけどね…。
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