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その日総一郎はお寺の境内で桃花の恋文を読んでは、涙を流して桃花を想いながら恋文を燃やしていた。
恋文の量は多すぎて一日では燃やしきれなかった。
総一郎は三日かけて桃花の恋文を読み燃やしていく。
そして最後の恋文には、
「愛しい総一郎さんこの世であなたと添い遂げること叶いませんでした。けれど、来世ではきっと生まれ変わり、あなたと添い遂げられることを願っています。私の事は早く忘れて総一郎さん幸せになってね」と書かれてあった。
総一郎は最後の手紙は燃やさずに自分の胸の懐へとしまい込む。
未練がましいと言われようと私には、桃花を忘れることなどできない。
桃花、私はいいんだよ。
桃花の手紙があれば幸せに生きていけるから。
総一郎は、その後自分の部屋に帰ると、机に向かい、桃花への熱い思いを恋文にしたためる。
そしてその恋文は誰も読めないようにしっかりと封をして総一郎の胸の懐の中にしまい込んでしまった。
もうこの世にいない桃花を想って、総一郎は毎年桃色のしだれ梅を見つめている。
それは総一郎が亡くなるまで休むことなく行われた。
終わり
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