酒癖が悪い

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 私は酒癖が悪いらしい。どういうわけか酔うと、必ず透明人間になっているようだ。 「その心は、へべれけである」  とだれかが笑って言う。 「つまり正体をなくしているわけ」  親切なだれかが教えてくれた。  それだけならまだしも私は勢いに任せて飲みつづけ、銭湯の女湯を覗きに行くわ、よその家に侵入してラップ現象を引き起こすわ、そこら中に嘔吐物をまき散らすわ、道行く人たちに見境なくディープキスをしまくるわ、夜の帳に包まれた繁華街で下ネタを叫びまくるわ、と数々の愚行というか、犯罪を起こしているのだとか。  ……以上のような事実を飲み仲間たちの口から大声で告げられてしまい、私は現在、かぎりなくブルーになっている。透明からほど遠い真っ青である。  反して、飲み仲間たちはゆでだこみたいな顔を並べ、ゲラゲラ笑うばかり。なにがおかしいのかテーブルをバシバシ叩き、腹を抱えるやつまでいる。
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