キミの背中に、手を伸ばす。

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 やべぇ。俺、さっきから感情の起伏、めちゃ激しい。 「悪いな。空のクーラーボックスを確かに見たような気がしたんだけど、気のせいだったみたいだ」 「や、いいよ。謝んないでくれ」  確かにがっかりしたけど、それは一色のせいじゃない。 「俺こそ悪かったな。んじゃ、屋台の当番、頑張ってくれな」  ひどく申し訳なさそうにしてくれた一色に明るく声をかけて、ブースから離れた。  早足で歩きながら、思わず出そうになった溜め息を慌てて飲み込む。  駄目だ。溜め息なんか、つくな。こういうことも予想して、予備のクーラーボックスの準備をしとかなかった俺が悪いんだ。  あー、けど、マジでどうしよう。自分の部活以外で頼れるところなんか、俺、ねぇぞ?  えーと、他にクーラーボックスを使いそうなところで、貸してくれそうなヤツが居るとこって……どこだ? えーと、えーと……。 「――武田くん? どうしたの? こんなとこで何して……あっ、もしかして、何かトラブっ……」 「秋田ぁ! 助けてっ! あのさっ、クーラーボックス! クーラーボックスが足んねぇんだ。困ってんだよ! どうしようっ? 秋田ぁぁ!」  中庭の渡り廊下でグルグルと悩んでたら、超ラッキーなことに秋田が通りかかってくれた。  さながら飼い主を見つけた大型犬のように、小柄な身体に飛びつくようにして泣きついた。 『秋田に頼ってばかりじゃ、駄目だ。実行委員は俺なんだから、トラブルは俺が何とかしねぇと!』  なぁんて、キリッと意気込んでた、ついさっきまでの俺よ……はい、サヨナラ。
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