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「ん? 今の言葉で感じたのか? お前……まさか本当に、花宮先輩との淫らな妄想を思い浮かべたりしたんじゃないだろうな? もしくは、そういう願望があるか、だが」
眼鏡の奥の黒瞳がすうっと細められ、鋭い視線が低い声とともにレンズ越しに突き刺さってきた。
「……違っ。俺が好きなのは、お前だけっ。お前が俺をこんなに熱くさせるから、それで俺っ……こんな風におかしくなっちゃうんだってば」
これは本当だ。だって、実際、土岐にしか感じない。
土岐が触れた耳だから、こんなにいつまでも熱を持ってるんだ。
ヤキモチを妬いてくれるから、宮さまの幻影だって見てしまう。
「あぁ……ふっ、そうか。こっちも触ってもらいたくて待ってるのか? 仕方ない。まだ焦らしてやろうかと思っていたが」
必死で言い募った俺の本心に、唇を引き上げて意地悪な笑みを浮かべた土岐の手が動いた。下に、向かって。
「あ……」
背中を支えてくれていたほうの手が、ユニフォームパンツの後ろ側から、するりと中に滑り込んでくる。
「あ……っ、んっ」
下着の上からでもハッキリとわかる、肌をなぞる指の感触に、ひくりと身が震えた。
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