キミの背中に、手を伸ばす。

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「……っ、はっ……はぁっ……あれ、土岐は?」  全速力で走ってやってきたのは、中庭に設置されたバスケ部のブース。  俺らバスケ部の今年の出し物は焼きそばの屋台で、土岐が初日の当番だと知ってたから、予備のクーラーボックスがあれば助けてもらおうと思ってきたんだけど。 「おーい、一色(いっしき)! 土岐、いねーの?」  土岐の姿が見えないから、一色に声をかける。コイツもバスケ部。そして土岐と同じクラスで、幼なじみメンバーのひとりだ。 「土岐? さっきまで居たんだけどな。アイツに何か用か? 帰ってきたら伝えとくけど」 「マジ? うーん、困ったな。じゃあ、お前に聞くわ。あのさ、クーラーボックス余ってねぇ? 俺らのクラスの分が足んなくて困ってんだよ」 「あー、あったかもしれない。ちょっと待ってろ。見てくる」 「おぉ! 頼むよ!」  やった! ここに来て正解だぜ! 土岐には会えなかったけど、ラッキ……。 「悪い、武田。あると思ってたけど、勘違いだったみたいだ」  え……ぬか喜び?
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