キミの背中に、手を伸ばす。

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 やべっ。俺、めっちゃ変な声、出しちまってた! どん引きしてねぇ? 大丈夫? 「あ、土岐。それ、冷た……」  けど、なんで俺、ペットボトルを首に押しつけられてんだろ。 「ん? 買ってからだいぶ時間経ってるから、そんなに冷たいはずはないんだが。水滴が垂れたせいじゃないか? ――ほら、ミルクティー。好きだろ?」 「あ、うん。サンキュ」  もう一度『冷たい』って言ったら襟元からペットボトルが引き抜かれて、何でもなかったみたいに手渡された。  あ、ほんとだ。実際に手に持ってみたら、確かにそこまで冷たくない。  土岐の言う通り、水滴が垂れた感触で冷たいって感じたのは、ほんとみたいだ。つか、買ってから時間経ってるっつーことは、そんなに長く俺のこと探し……。 「――濡れてる」 「……っ、ひゃっ!」  指? いつの間にっ? 土岐の指が! 襟元からシャツん中に入ってきてるっ! なんでだっ?
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