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「あ……」
耳殻に熱い感触を与えてきた土岐の唇は、すぐに離れていった。
けど、たった今、鼓膜を震わせてきた言葉は聞き間違いじゃないはず。
ふっ、ふふっ、『ふたりで』って言った。言ってた。『ふたりで一本』てことは、まさか口移しっ?
てなわけは、なくて!
ふたりで交代で飲むってことで! つまり、間接キスじゃん!
おおおぉ、マジか。俺相手に、アリなのか? マジなのかぁ?
や、この土岐が冗談なんて言うわけねぇから、マジなんだよ。そうなんだよ。イイんだよ!
でも一応、確認、する?
驚きでピッと固まった首筋をギシギシと音がしそうな動きで横にひねり、いまだ俺の肩に手を回してる相手の目を見るため、目線を動かす。
「……土、岐?」
どくどくと大きく跳ねる鼓動をそのままに、沈黙してる相手を見やる。すると、俺より5センチ低い相手の目線も俺を捕らえていた。真っ直ぐに。
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