キミの背中に、手を伸ばす。

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 土岐が、俺を抱きしめてる。  これ、夢じゃないよな?  だって、ちゃんと感じるもん。俺の腰と後頭部に、土岐の手の感触を。  最初、ふわっと背中に回されたその手はすぐに腰と後頭部に移動して、そのまま強めの密着が持続してる。でも、それはどうして? 「……土、岐?」  今、自分が置かれてる状況について尋ねたい。けど、突然与えられた好きな相手の温もりに全身が硬直してる。上手く口が動かせない。相手の名前を呼ぶのが、精一杯だ。  わけ、わかんない。『褒美』って、何? 『俺のため』って、どういうこと?  よく考えろ、俺。まずは、この体勢についてだ。  これは、間違いなく抱きしめられてる図。土岐が、俺を。男が男を、だ。  けどさ、俺は土岐のこと好きだけど、土岐にとっての俺は単なる幼なじみ。バスケ部のチームメイト。友だちでしかない。  てことは……あ、そっか。  なんだ。これ、ただの『友だちのハグ』か。  そっか。そうだよ。俺に、ねぎらいのハグをしてんだよ。  ねぎらいだから、御礼に欲しいモノを今から言うってことなんじゃね?  それしか考えらんないよな。なんだ。あっさり解決したわ。すっげ、紛らわしいけど!
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