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『俺のものでいろよ――――慎吾』
名前、呼ばれた。土岐が、俺のことを下の名前で。武田じゃなくて、『慎吾』って。
んで、んで! そんでさっ! これ! この唇の感触!
キキキキ、キス! じゃねっ?
これ! キスじゃねっ?
だってさ。だって、ぴったりと唇が合わさってるんだ。
んで、そうかと思ったら今度は、柔らかな弾力が軽く啄むみたいに、唇の上で動いてくんだよ。
そんで、唇の温度を俺に教え込むように、きゅって押しつけてきたり。
これ、絶対にキス、だと思う。
ならさ、ならさっ。てことはさ! 土岐ってば、俺のこと好き、なん?
……かな?
んん? 何、今の短絡的思考。
いや、ないだろう。それは、ない。それだけは! ないぃっ!
自信持って言い切れるぜ。
ふはははっ。胸だって、張ってやる。
めっちゃ、虚しいけどな……!
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