キミの視線に、乱される。

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「あー? 秋田も、一緒に行く? 俺はさー、『今日もめちゃめちゃ憧れてます』って言いに行くんだぁ」 「行くよっ。てかチカは、いっちゃんの大好物を手作りしてきてるから、それを渡すの」 「えっ? 宮城先輩の大好物って何? 知りたい、知りたいっ。是非、俺にも教えてく……」 「お前ら、うるさい。そんな用、今じゃなくてもいいだろっ」  秋田と顔を見合わせ、浮き立った気分で交わしてた会話が、唐突にさえぎられた。声の主、土岐を見れば、硬質な目線が俺らに返ってきてる。 「こっちは真面目な用で行くんだぞ。というか、真剣に学園祭の打ち合わせしろよ。実行委員だろうが。――行こう。白藤さん」 「あっ、はい。あのっ、ふたりとも、後でね!」  冷たい口調で言い放って、さっと背中を向けた土岐を、慌てて追いかける白藤ちゃん。その白藤ちゃんを途中で立ち止まって待って、並んで歩き出した土岐。  あれ? 俺、いつの間にか置いてきぼりになってる。なんで?  結局、仲良く並んだふたりの姿を見せられてる。どうして? 「あーあ、置いてかれちゃったねぇ、チカたち。じゃあ、まずは打ち合わせの続き、しよっか。真面目に」 「……うん」  また、空気の読めない脳天気な馬鹿って思われたよなぁ、俺。  去り際に土岐が向けてきた視線、めっちゃ冷たかったもんな。  絶対、思われただろうな。『むかつく、お邪魔虫』って。絶対……。
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