濁りのない、無。

4/5
前へ
/5ページ
次へ
「猛威をふるいすぎるからね。人為的だと思うのが妥当だろう」 「そんな実験に人類を巻き込まないで欲しいものです…!その医師が原因なんじゃないですか!?」 「ただひとつ、疑問なのは臓器ってことだ。肌が透明なわけではなく、その逆…中身から透明になっている」 「確かにそうですね。なぜ臓器が消えるのでしょうか…。 腸や胃、なかには心臓まで失っている症例があります」 「心臓がなくても生きているなんて変な話だな。だが、この病気…もしかしたら、まだ人間相手には全身までを透明にする強さはないのかもしれない」 「そういえば先生…!例えば『透明な内蔵』を持った者と『透明な肺』を持った者の間に子が生まれれば、その生まれた子は『内蔵と肺』が透明になっていたという報告があります。 この病気…遺伝性が高いのかも知れません」 「うむ。時間の問題だな。いずれ…全てが『透明』になった人間が生まれるかもしれない。この世は透明な人間で溢れる。 その時、人類は消える。 生きているのに消える」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加