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真奈美はそういって制服のスカートのひだを捲って見せた。柔らかさの欠片も無い硬い質感の足が、私の目の前に露にされる。形だけは綺麗で申し分ない。でも、それは明らかに独特の冷たさを持ってる。
これは、紛れも無い偽足だ。
「ここから切り落としたの、昨日。すっごく痛かった。」
真奈美はスカートのひだを太ももの付け根まで見えるように捲り上げ、痛そうに顔を歪めた。
「切った足をね、お家の庭に植えてはやしてるんだー。専用の施設じゃなくても大丈夫なんですって。土と水と肥料さえあれば。」
真奈美はまるで花の苗を植えるように話す。
私は言葉を失った。それは真奈美が偽足だということに気付かなかったからじゃない。ましてやそんな不気味な流行を今の今まで知らなかったからでもない。
私はただ、真奈美の足が間違いなく偽足だという事実に、驚愕していたのだ。
根元がまだ傷がふさがっていないのか生々しくみずみずしい。偽足との繋ぎ目に幾重にも巻かれた包帯から、血が滲んでいる。それでも押さえられない出血が包帯から滴り落ちる。
「血が止まんないのよね。これだけが難点。」
言いながら、真奈美は机の横に掛けたスポーツバックから大き目のタオルを取り出し、楽しそうに血を拭った。
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