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一つも真奈美のように楽しげに笑う要因を見つけられない。それでも、あまりにも真奈美が嬉しそうに楽しげにするものだから、合わせるように口元に笑みを作った。
「はやしてどうするの?」
私の中で一番くすぶっている疑問だった。もともと真奈美は園芸には興味はないし、土いじりが似合わない。そんな問題でもないけど。
「本当に、ナオは何も知らないのねー? はやしてどうするって、決まってるじゃない。綺麗に成長させて戻すのよ。」
「...戻るの!?」
「勿論!! そうじゃなきゃ、誰が好き好んで足を切って植えるの!? 痛いのに!!」
真奈美は憤慨して、私はホッとした。いろんなことをスルーしてでも、初めて自分の理解できる話になりそうだと胸を撫で下ろした。
「っそうだよねー。戻るからするんだよねー。」
「そうよ。」
どんな方法かは知らない、でもきっと元に戻せる技術や薬品があって、真奈美の足は綺麗に生まれ変わるんだと、都合の良いように受け止める。
「凄いね。そんな方法があるなんて知らなかったよ。」
「そうだよ。現代の美容技術は凄いんだから。ま、ナオが美に興味が無いのは知っていたけど、そこまでとはなんて、私の方がびっくりだよ。」
「はははは。」
私は単純だし、その上順応能力の高さに自分でも驚く。もう、真奈美の足が偽足で、彼女の足は庭に生え、現在、育成中だということをまだ驚いてはいても、そうなんだと思い始めていた。
「あ、真奈美、偽足だー!! ってことは足切ったんだー!!」
なるチャンが、私と真奈美の傍に寄ってきた。
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