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「ししょぅ、アレ、何ですかねー?」
ミランダは小高い丘の真ん中に、剣のようなものが刺さっているのに気付いた。
二人は旅の途中の娯楽程度にその剣に近づく。
「師匠〜、見てください。銀の剣みたいですよ。きちゃないですが、装飾が綺麗ですね~。」
言いながら、ミランダは剣に手を掛ける。
「ミランダ! 触るでナイッ!」
ユリアスの手が、剣を引き抜こうとしたミランダの手を制するが、時、既に遅し。真っ直ぐに伸びた銀の剣が、堂々と天を突き刺していた。
「どうしたんですか~?」
ことの重大さに気付いていないミランダは、初めて持つ銀の剣に声を弾ませている。
そんなミランダにため息を一つ吐くとユリアスは話し出した。
「お前は、…勇者の剣を抜いてしまった」
ミランダは、びっくりして剣を投げ捨てた。カランっと勇者の剣は安そうな音をたて転がった。
「勇者の剣!???」
「そうじゃ。…周りを見ろ!
西の山は竜を描き、東の山は山猫を描いておる。その二つの山の交わるところに太い川!」
ユリアスは堂々と山々に手をかざし説明する。
「師匠、東と西が逆です!」
「喝!!」
ユリアスは、一言で威厳を示した。
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