第1回SF:「秘密会議」

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   僕たちが1階と2階の間に何かいると疑い始めたのは、丁度一ヶ月前。12月中旬の頃だった。  僕とサチは普段通り2階にある子供部屋で布団を並べて横になり、暗くなった部屋の中で、直ぐに眠れずゴロンとしながら目を閉じていた。  そしたらさ、床の下から何か聞こえてきたんだよ。 「ぺぺぺぺ、ぺぺ、ぺぺぺ。」 「ポポポ、ポポ。」  機械音のような、初めてきく不思議な音。その音は、ひたすら「ぺ」と「ポ」の掛け合いのようで、会話をしているように聞こえた。僕たちは、黙ってそれをきいていたんだ。ちょっと得体のしれない音が怖かったんだよね、サチには内緒だけど。暫くしてその音が聞こえなくなるまで、一言も漏らさず瞬きさえもせず、ずっと耳を澄ませていた。  次の日もその次の日もそれは続いた。3日目ぐらいからだろうか、その音に規則性のようなものを見つけたんだ。それは、午後9時から始まり15分したら消えるっということ。  そして、もう一つ気づいたことがある。これは、サチと意見を交わした結果の憶測の範囲内なんだけど、機械音はおそらく声だろうということ。  誰のって?教えて良いけど、絶対に秘密にするって約束できる?出来るなら教えてあげる。でも、大きい声を出さないように心の準備をしてくれよ。彼らが逃げちゃうからさ。  心の準備できた?なら、耳を貸して。  
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