第1回SF:「秘密会議」

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 これは98%正解だ。近所のおばちゃんにしっかりしているって昨日言われたばかりの僕がいうんだから間違いない。サチも納得していたし。  見た訳じゃないから断言はできないけど、多分、1階と2階の隙間のどこかに、時空の歪みたいなモノができるんだ。午後9時から9時15分の間だけね。その歪みから遠く彼方、100光年以上離れた誰も知らない星の宇宙人がやってくる。  サチが「きっと、ぺぺとポポはままならぬ恋をしていて、逢瀬を重ねるためにくるのよ。」なんて、半分以上意味さえも分からないことを言い出したから、僕は兄の権限を大いにふるい、「ぺぺとポポはままごとなんてしてるんじゃねぇ」と一括して止めさせた。  ぺぺとポポはままごとじゃなくて「秘密会議」をしているんだ。  100光年離れた遠い星では宇宙大戦争が勃発していて、その戦争の勝敗を決める大事な作戦会議なんだ。彼らの星は、地球よりも100光年先の科学技術が発展しているから、僕の家の隙間に時空の乱れを作り出したり、自分の身体を大きくしたり小さくしたりする技術がもう既にある。そんな星だから、どこで誰かに聞かれたりなんて簡単にできるんだよ。だから秘密が絶対に漏れないように、星のツートップが遥か彼方の僕の家の真ん中で話し合いをしているんだよ。そうに決まっている。まさか地球という後れた星の、それも平凡な家の真ん中で、そんなことが!なんて誰も思わないだろう?  ちなみに、本当に宇宙大戦争の作戦会議がなされていたことを知るのは、100億年先の話。僕が知らない話。  僕は時計の針を見た。緊張が走り身構える。    もう直ぐ二人が来る。 
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