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そんな僕がやっとの思いで言ったのはこんな言葉。それを聞いた天使は再度こちらを向き、目をぱちくりさせる。
「朝食?お茶?」
………その言葉の意味が分からなかったらしい。
「ほら、何か食べないとお腹すくでしょ?何も飲まないと喉乾くし」
なんでこんなことを教えるんだろう、と思いつつも言う。
「食べないとお腹すく?飲まないと喉乾く?」
天使が呟く。それと同時にきゅー、という可愛らしい音が聞こえた。
「お腹、すいてる?」
ちょこんと首を傾げる。そんな天使の様子に思わず苦笑してしまう。
「みたいだね。ほら、今から作るからそこで待っててよ」
と折り畳み式の小さなテーブルを出してその隣を指し示す。すると天使は素直にそこに座った。その際に翼からいくつもの羽が落ちた。それを見て軽く目を見開く。
--天使の羽、それが抜け落ちるなんて話は聞いたことなかったから。それどころか、地上に羽が落ちてきたことすらない。はるか上空に確かに暮らしているのに。
なのに今、僕の目の前で確かに抜け落ちた。それを拾って調べてみたい、という衝動に駆られるが、今は朝食の準備に専念する。天使の警戒心をなくせれば、今まで遅々として進まなかった天使工学--僕の研究課題に大きな衝撃を与えることが出来るはずだ。そのためならちょっとの我慢くらい、どうってことない。
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