蛇の尾

6/10

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
と、ここで航の夢は終わった。 (夢オチかよ) 航は心の中で呟いた。 しかし、この不思議な夢を皆に伝えなければ、と 謎の使命感が航に芽生える。 時刻は午前9時。今日は学校が無い。 すると部屋の扉が勢いよく開き、悠が入ってきた。 片手にはコンビニの袋をぶら下げている。 航は上体を起こし、 「よう。なぁ聞けよ、今日見た夢がさ…」 航は口を止めた。 「夢がなんだよ、話せよ。おねんねが足りなかったか?おーい」 航はその時、悠の背後におっさんの霊がいるのを見てしまっていた。 (…夢オチじゃない。むしろ続編) 「悠、よく聞け」 航は早口で先程から見た夢を説明した。 「うん、で、俺が来て今に至ると。 確かに不思議な夢だな。雅素人童貞って。笑正夢になんねえかなそれ。笑」 と、悠は微笑を浮かべた。 だが、まだ真剣な顔をしている航を見て、 「え?まだなんかあるの?」 「…お前の後ろにおっさんがいる。」 悠は少し硬直した後、大きく一呼吸し、その場に座り、タバコに火をつける。 「マジか」 悠が、それを冗談と判断しないのには理由があった。 航の霊感は、花見川南ヤンキー達お墨付きなのである。 心霊スポット、廃墟、様々なスポットで、航は霊を察知し、心霊現象が起こってきた。 悠は航の霊感を信用している。 「おっさんは今何してる」 「鏡で髪型確認してる。あ、ポケットからビスケット出した。」 「叩けば二つになるパターンだろそれ」 「叩いたけど粉々になった」 「掃除しろよ」 それからしばらく沈黙が続く。 航はじっとおっさんを観察していた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加