狸と身体

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北海道 草刈市 花見川南 そこには花見川南中ヤンキー達の溜まり場があった。 と、言ってもボス格、航の家である。 学校が終わると花見川南中屈指のヤンキー達がそこへ集まる。 一服をし、他愛もない話をし、時にはそのまま解散となったり、外へ出歩いたりという、普通のヤンキー達なのだ。 だが、今日は違った。 皆が煙草に火を付け、フゥーと煙を吐いたのと同時に 「今日は何の日だ?」 航があぐらをかきながら下を向いて言った。 皆の眉がピクッと動く。同時に煙草を持つ手も止まり沈黙がしばらく続く。 「……お前の誕生日だろ」 雅が口火を切った。モンキー顔が特徴の男だ。 「そうだ。」 航が初めて皆に顔を見せた。 「お前らなんだこの有様は。誕生日だっつー… はっぴばーすでー!!!!! 皆がボロボロのスクールバッグから前もって用意していた百均クラッカーを鳴らした。 円状の先端から何色もの色紙が飛び散る。 「おめでとーう!」 航は即座に状況を判断し、目を潤わせた。 ありがとう、雅、悠、間柴、賢弘、晴空、豪太、森部、真城、栄也… そんな事を思っている最中、皆がプレゼントを持って、航に渡そうとしていた。 みんな………アレ? 「航!これジョーダンエイトのレトロ!欲しがってただ… 「狂四郎は?」 航の一言で間柴のプレゼントの言葉は途切れた。
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