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「見えなくても、アカリが泣いていたら、分かるよ」
その指は、いつも私にしてくれるように、不器用ながらも丁寧に目元の涙をぬぐってくれた。
「見えなくても、アカリが傍にいたら、分かるよ」
その感触に、私は条件反射で瞼を閉じていた。
まるでその反応さえ見えているかのように、リョウタの唇がそっと私に触れる。
私の姿が見えていないはずなのに、リョウタのキスはきちんと私の唇に落ちる。
腕が私の腰に回って、リョウタの広い胸の中に抱き込まれる。
全身で抱きしめられてしまうと、もう透明でいる意味なんてなかった。
リョウタの腕の中に不自然に残った空間が、すなわち私の体なのだから。
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