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ベッドの上で膝を抱えていたら、カチャリと玄関のドアが開く音がした。
ゴソゴソと上がり込んでくる気配がして、ヒョコッと見慣れた顔が中をのぞく。
「……アカリ?」
……ああ、合鍵、返してもらわないと
私はそんなことを思いながらベッドを下りる。
ギシリと弾みでベッドがきしんだ。
でもリョウタの視線は私の上には留まらず、部屋の中を滑っていく。
「靴……あったのに、いないのか?」
そうか、トモコがくれた透明人間になれる薬、まだ効力が切れてないんだ。
同じ研究室に所属する薬学の天才に感謝しながら、私はリョウタの目の前に立つ。
無表情に近い顔に微かに戸惑いを見せるリョウタの目に、私の姿は本当に映っていないようだった。
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