空気のように大切なあなたへ

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 私は常にないほど間近で、リョウタの顔を見上げる。  裏切られたと分かっているのに、その現場に居合わせたというのに、こうして見上げていれば好きだって気持ちがあふれてくる私は、正真正銘のバカなのかもしれない。  ……リョウタって、あんな顔で笑えるんだね  ほとんど表情が分からない無表情に、嘘をつけばすぐに泳ぐ視線。  空手一辺倒で、女心なんて分からない武骨な性格。  そんな彼が大好きだった。  嘘なんてついていないんだって、デートを何回も断られても『バイトが忙しいんだ』っていう言葉は本当なんだって、ずっと信じてきたのに。
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