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今の私の姿は、リョウタには見えていない。
今の無防備なリョウタになら、運動音痴の私のビンタだって届くだろう。
「どうしても今日、伝えたいこと、あったのに……」
構える私に気付くそぶりもなく、リョウタはコートのポケットに手を入れて中に入れてある物をいじる。
そこには小さな小箱が入っている。
綺麗にラッピングされて、かわいいリボンが掛けられた、リョウタには逆立ちしたって似合わない、小さな小さな箱。
その中に何が入れられているのか、私は開かなくても知っている。
その瞬間、あの店の中での光景がフラッシュバックした。
3年付き合った私ですら見たことのない、本当に嬉しそうな顔。
その言葉と表情に寄り添うように立つ、私の知らない女。
その光景は、幸せという言葉そのまま形にしたかのようで。
「……どうしよう」
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